筋ジストロフィー

 

1.筋ジストロフィーとは…

 筋ジストロフィーとは進行性に筋線維が破壊消失していく病気です。遺伝性のことがしばしばあります.主な症状は,筋力低下と筋萎縮ですが,症状の違いによっていくつかの臨床型に分類されています。
 多くのタイプがあり病像はさまざまでですが,一般的な特徴をあげると,
  1. 乳幼児期から青年期に,歩行開始の遅延,起立・歩行の障害,上肢の挙上困難などで発症し徐々に進行する.
  2. 腱反射は低下ないし消失する.
  3. 血清CK値高値を示す.
などがあります。

2.筋ジストロフィーの分類…

A.Duchenne型筋ジストロフィー(伴性劣性遺伝)
 本症ではX染色体短腕(Xp21)上にあるジストロフィン遺伝子の変異(欠失など)によりジストロフィン蛋白が完全に欠損しています.男子の病気で,女子に発症することは大変稀です.進行性筋ジストロフィーの中で最も高頻度で,人口10万人に対し3‐5,男児出生2,000‐3,000人当たり1人といわれています.通常3‐5歳頃,走れない,転びやすいなど歩行,起立に関する異常で気づかれます.腰帯部など体幹近位筋が優位に侵されます.筋萎縮・筋力低下は進行性に悪化し,10歳前後に歩行不能となります.このころより脊柱の変形や関節拘縮が急速に進行し,多くは呼吸不全,時に心不全,肺炎などを起こすことがあります。
B.Becker型筋ジストロフィー(伴性劣性遺伝)
 本症もジストロフィン遺伝子の変異が病因ですが,Duchenne型と異なりジストロフィン蛋白は完全には欠損しておらず,量的減少および質的異常(分子量が小さい)をみます.Duchenne型より軽症であり,やはり男子が罹患します.発症年齢は5〜25歳で腰帯筋の筋力低下,筋萎縮から始まり,肩甲帯に広がり,腓腹筋の仮性肥大も伴いますが,進行はDuchenne型より一般に緩慢で,15歳を過ぎても歩行可能な例が多い.
C.肢帯型筋ジストロフィー
 肢帯型は常染色体劣性遺伝のものが大多数を占め,一部常染色体優性型式をとります.男女とも罹患します.多くは10〜20歳代に発症しますが,30〜50歳代と遅く発症する人もいます.腰帯筋から肩甲帯に,あるいはその逆に筋力低下,筋萎縮が広がり,仮性肥大を見ることがあります.進行は暖徐発症20年以上を経て歩行不能となります.重篤度や進行速度は個人差が大きいですが,一般に中年以降になると機能障害も高度となります.
D.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
 顔面肩甲上腕型は常染色体優性遺伝で,発症年齢は小児期〜成人であり,顔面,肩甲,上腕筋の筋萎縮,筋力低下で始まり,遅れて腰帯筋が侵されます.極めて暖徐に進行し,天寿をまっとうする例が多いです.
E.遠位型ジストロフィー
 Welander型と三好型に大別されます.Walender型は常染色体優性遺伝で40〜60歳に発症し,筋萎縮,筋力低下は手指に始まり,遅れて下腿遠位筋が障害されます.一方,三好型は常染色体劣性で10歳代後半〜20歳代に発症し,下肢末梢に始まり,下腿屈筋(腓腹筋)が強くおかされるため,早期より爪先立ちが不可能になります.症状は進行性で,発症後数年で起座歩行に支障をきたします.

3.筋ジストロフィーの診断…

 診断のための検査は血液検査,神経伝導検査,筋電図,筋生検,DNA解析などがあります.筋肉が壊れていく病気ですが,筋肉そのものに異常があって筋肉が壊れていく病気(筋ジストロフィーなど)と筋肉に通じている神経の異常が原因で筋肉が壊れていく病気(ALSなど)とを鑑別しないといけません.したがって上記検査を行っていきます.

4.筋ジストロフィーと診断されたら…

5.筋ジストロフィーの治療…

 関節拘縮防止,脊椎側弯矯正,呼吸訓練などのリハビリテーションを行います.また,状況に応じて,感染症の早期発見早期治療,心不全対策,呼吸不全対策を行います.
 原因を根治する治療法はまだ研究段階でありますが,筋移植(筋芽細胞注入療法),遺伝子治療(ウイルスベクターを用いるジストロフィン遺伝子の導入)などが試みられています.

6.在宅ケアの留意点…

 病初期の歩行可能な時期においては通学,家事,あるいは軽作業は特に制限をする必要はありません.病初期においても感染症に対する予防は大切で,このほか転倒による骨折などに注意が必要です.あまり疲れない程度に柔軟体操も行います.
 起立・歩行が困難になり、車椅子がひつような時期になっても,身の回りの動作のうち自力でできる行為は,できるだけ他人の介助なしで行うように努めます.自宅も極力バリアフリーに改築して,車椅子での戸外活動も積極的に行います.進行して,寝返りや食事・排泄・入浴などに介助が必要な状況になった場合,電動ベッドや電動車椅子などを使い,できれば1日1回以上は30分程度の座位保持をとるように心掛けます.
 口をすぼめ,呼気をゆっくり長く吐き出す呼吸訓練を行います.手足の屈伸運動も家の人の助けを借りて,毎日行い,関節の拘縮防止に努めます.
 腰椎前腕の影響で急性胃拡張をきたすこともあるため,食事は消化しやすく栄養価の高いものを適度に分けて摂取し,排便も毎日あるように腹部を,臍部を中心に「の」の字にマッサージしたり、必要があれば緩下剤を担当医に処方してもらい、自分にあった服薬量と服薬時間を工夫します.
 冬場は部屋全体を温かくして,特に感染に注意し,うがいを励行します.筋ジストロフィーは一般的に経過の長い病気ですので,気長に付き合っていきましょう.

関連サイト

日本筋ジストロフィー協会http://www.jmda.or.jp/
日本筋ジストロフィー協会北海道地方本部http://www2.snowman.ne.jp/~tsuchida/
つくしんぼの会http://homepage2.nifty.com/spiral_architect/tukushi.htm
Atom's HomePagehttp://www.fsinet.or.jp/~atom/