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平成16年9月1日より森松光紀教授の後任として神経内科を担当させていただいております。
神経内科は脳卒中、痴呆、けいれん、頭痛、めまい、筋力低下、感覚異常などの神経系のあらゆる疾患、症状を診る守備範囲の非常に広い科です。日本では神経内科が大学に設置されるのが遅く、社会的な認知も遅れました。このため、ともすれば神経内科医イコール治らない、珍しい病気を診ている変わり者の集団という印象を持たれることも今もって皆無ではありません。しかし時代は変わりました。アメリカ合衆国では1990年代の10年間を"Decade of Brain"と名付けて国家をあげて研究・診療の支援体制を整えて21世紀に突入し、わが国でも遅ればせながら脳研究の大プロジェクトがいくつもスタートしています。私の目から見てもここ10年足らずの神経学領域の進歩は恐るべきもので、これからの20年、ないし30年ぐらいが脳そのものを知り、神経疾患を治療するというテーマが大きく花開くときではないかと思います。私たちの教室も、神経疾患の原因遺伝子の探索とその生物学的な意義の解明、免疫性神経疾患の原因解明と治療法の開発、錐体外路疾患の治療などを柱とした研究プロジェクトが整備されつつありますが、あくまでも臨床を中心としたスタンスでこれらの難問に取り組んでいきたいと思っています。上にも述べましたように扱う疾患の幅が大きく、社会のニーズがどんどん増しているにもかかわらず神経内科の専門医の数は絶対的に不足しており、また、将来的に神経関係のbasicな研究者として生きる道も他科と比べるとはるかに間口が大きいというわけで、私たちの科は常にman power不足気味であり、各主要病院からの専門医派遣の要請に十分に答えられない状況が続いています。現在、何人の方に入局していただいても充分に質の高い活躍の場を提供できるものと思いますし、また、多くの方を私たちの仲間として加えることで、私たちができることの幅も大きく拡がっていくものと思っております。私が新人に求めることは、現時点での神経学の知識等ではなく、まじめで、精力的に患者さんの抱える問題に取り組む姿勢であり、それさえあれば、あとは現在のスタッフが指導していきたいと考えています。19世紀のある時期、コッホやパストゥールが活躍していた頃が、今、細菌学の時代として記憶されているのと同じように、21世紀初頭は”脳の時代”として記憶されることになるでしょう。来るべき時代に神経学の担い手となる若い諸君が私たちの仲間に加わることを希望します。

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