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山口大学大学院医学系研究科臨床神経学講座

教室の概要

 山口大学大学院医学系研究科神経内科は医学部附属病院診療科(神経内科)として1988年4月に発足し、1989年2月に森松光紀教授が初代教授として赴任しました。1993年4月に神経内科学講座に昇格、2001年4月から医学部の大講座制移行に伴い脳神経外科学講座と合体し脳神経病態学講座になりました。
 当初は、森松光紀教授を含めた5名(4名は神経精神医学講座神経グループから参加。定員は教授1名のみ)で、病床数8、外来診察室2室からのスタートでした。当時「神経内科」そのものが十分に理解されておらず、「精神科の一部門」「心療内科」「軽症精神疾患を診る科」などという他科医師・看護師、患者の誤解を受け、しばしば、神経症、うつ・不眠、不登校などの患者が受診・紹介されてきました。その後、積極的に医師会や勤務医の先生方への講演活動、学生教育の結果、次第に「神経内科」への理解が進み、器質・機能的疾患を扱う内科の一分野であることが周知されるようになりました。
 1993年4月の神経内科学講座移行に伴い定員は教授、助教授(講師に転用)、助手各1名に、2001年4月の大講座制移行にともない、教授、助教授、講師各1名、助手2名となりました。2004年9月より2代目神田隆教授が主宰しました。講座名が「臨床神経学講座」に変わり,「神経内科」が「脳神経内科」に名称変更されました。神田隆教授が主宰される間に、大学病院スタッフ枠と教室員が増員し,2022年3月では教授1名、准教授1名、講師1名、助教8名(寄付講座を含む),大学院生1名,診療助教3名,関連病院派遣3名となりました。2023年1月より3代目中森雅之教授が主宰しています。現在、中森雅之教授のもと、皆で診療、研究、教育に日々奮闘しています。
 診療面では、病床はA病棟9階の22床を中心に100%に近い稼働率は100%を保っています。県内の神経疾患センターとしての役割を果たしており、多くの患者さんが県内各所から紹介されてきます。対象疾患は神経疾患全般であり,自己免疫性神経筋疾患、神経感染症、筋ジストロフィー、末梢神経障害、変性疾患、脳血管障害、てんかんと非常に多岐にわたり、神経内科を志す若手医師に対し、網羅的に医学教育を行うことができています。外来では一般神経内科外来に加え、専門外来としてボツリヌス外来、電気生理外来を開設し外来患者数も年々増加しています。当院がある宇部市には市民病院がないため、大学病院にもかかわらずいわゆる「common disease」をもつ患者さんも多く来院され、市民病院としての一面も担っています。このような日々の診療の中から、日本神経学会、日本内科学会、日本神経免疫学会、日本末梢神経学会などでの症例報告・研究発表を医局員の臨床研修の一環として継続的に行なっており、臨床論文も増えてきて、地方会の若手奨励賞などに入賞することもしばしばです。
 研究面では、神経内科設立当初は神経画像診断・電気生理学を中心とした臨床研究が主体でありましたが、神田隆教授の主宰時は神経・血管系の各種培養細胞を用いた基礎実験が研究の中心となり、免疫性神経疾患の病態解明、血液脳関門・血液神経関門の分子細胞学をテーマとして研究を展開しました。新たに中森雅之教授のもとで筋強直性ジストロフィーやトリプレットリピート病などの代表的な神経難病に対して、新しい治療法を開発する研究を始めています。これからも難治性の神経疾患の克服にむけて、全く新しい視点からアプローチするオリジナリテイーあふれる研究を行い、その結果を世界に向けて発信していきます。
 山口県全体の神経疾患診療の水準を高めるためには関連病院、地域医療との密接な連携が不可欠です。現在は関連病院として山口県立総合医療センターに4名、関門医療センターに3名、徳山中央病院に3名、宇部興産中央病院に2名、その他に約20の県内関連病院に非常勤医を派遣しています。多くの関連病院から常勤医・非常勤医の派遣を要請されていますが人員不足からすべてに応じることができていません。今後も新規関連病院での脳神経内科開設の予定もあり、地域医療に貢献するべく今人材獲得と育成に尽力しています。

(文責 医局長 清水 文崇)

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中森 雅之  教授

中森教授

医学系研究科 臨床神経学講座

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