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山口大学大学院医学系研究科臨床神経学講座

脳神経内科での研究について

山口大学脳神経内科での研究

私達は「山口県から世界に発信する研究を進める」ことを合言葉に,日々の研究に取り組んでいます。主に5つの研究テーマがあります。

  1. 筋強直性ジストロフィーやトリプレットリピート病の病態解明,新規治療開発の研究(中森雅之教授)
    進行性の難治性神経・筋疾患に対し、なんとか有効な治療法を開発することは、研究を行う脳神経内科医の重要な使命です。当研究グループでは、筋ジストロフィーのひとつである筋強直性ジストロフィーや、遺伝子上の塩基繰り返し配列が異常に伸長しておこるトリプレットリピート病(ハンチントン病など)について研究を行っています。これまでに、筋強直性ジストロフィーの多様な全身症状の原因を明らかにしたほか、核酸医薬や低分子化合物によるモデル動物での治療効果を数多く報告し、われわれが見出した治療薬の医師主導治験も実施してきました。 また、トリプレットリピート病では繰り返し配列の伸長機構を解明し、遺伝子の異常を正常化する治療法の開発も進めております。国内はもとより、米国・カナダ・フランス・ポーランドなどの研究機関と緊密に連携をはかりつつ、これら難病の一日も早い治療法の確立を目指しています。ご一緒に難病に立ち向かい、治療開発に取り組んでいただける方を心からお待ちしております。
  2. 血液脳関門、血液神経関門、血液筋関門の研究(清水文崇)
    血液脳関門、血液神経関門、血液筋関門とは神経筋系の血管バリアーで、常にめまぐるしく変化している血流の有害成分の神経筋内侵入を阻止する機能があります。
    私達は、ヒト由来の血液脳関門、血液神経関門、血液筋関門を構成する不死化細胞株の樹立に取り組みました。血液神経関門は血管内皮細胞、ペリサイト、アストロサイト、血液神経関門と血液筋関門は血管内皮細胞、ペリサイトから成り立ちますが、これらの全ての細胞の不死化細胞株を作製しました。
    血液脳関門由来の内皮細胞、ペリサイト細胞を所有している研究室は世界でも少数で、血液神経関門と血液筋関門由来の内皮細胞、ペリサイト株を所有している研究室は世界でも当大学の研究室だけです。
    これらの独創的な細胞株を用いて、様々な神経筋疾患での血液脳関門、血液神経関門、血液筋関門を壊す、あるいは修復するメカニズムの全容解明を目指しています。特に多発性硬化症、視神経脊髄炎、自己免疫性脳炎、免疫介在性ニューロパチー、筋炎などの自己免疫性神経筋疾患とアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患に注目し、血液脳関門、血液神経関門、血液筋関門破綻メカニズムの解明を進めています。また、国内外の研究機関や製薬会社との共同研究も積極的に進めており、当教室の研究は新規薬物の開発にも貢献しています。
    臨床に直結する研究の面白さ、美しさを一緒に体感してみませんか?
  3. 脳のバリアシステムを診断・創薬ターゲットに〜(西原秀昭)
    ヒトの神経細胞が正常に機能するためには、中枢神経内の恒常性を維持する必要があります。血液脳関門(Blood-Brain Barrier: BBB)がこの役割を果たし、多くの中枢神経疾患ではBBBが破綻していることが知られています。これまでの課題として、患者由来のBBB機能を評価するサンプルが不足しており、BBB破綻が病態にどのように関与するかが明確ではありませんでした。
    当研究グループでは、独自に開発した「患者iPS細胞からBBB構成細胞を作製する技術」を用いてこの問題を克服し、患者BBBに焦点を当てた研究を進めています。現在、多発性硬化症を中心とした神経免疫疾患や、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、遺伝性脳小血管病など、数多くの中枢神経疾患患者由来のiPS細胞から血液脳関門破綻の病態モデリングを進めています。また、より優れたBBBモデルの開発に向けて、中枢神経内細胞を含んだ3D-BBBの開発にも取り組んでいます。私たちの研究は、臨床現場でどのような疑問を解決できるかを常に考慮し、BBBを標的とした革新的な診断技術と創薬を提供することを目指しています。
    iPSCs-BBB研究所
  4. 神経筋病理の研究(佐藤亮太)
    当施設は、末梢神経・筋疾患の組織生検、標本作製、病理診断を一貫して行うことができる日本有数の施設であり、全国からの病理診断依頼に対応しています。末梢神経・筋組織の病理学的解析によって、原因不明の末梢神経・筋疾患の病態解明を目指しています。また、近年注目されているAI病理診断支援技術を開発にも着手しており、末梢神経の新たな病理診断法の開発に貢献していきます。
  5. 自己免疫性神経疾患における自己抗体(古賀道明)
    自己抗体が検出される末梢・中枢神経疾患が年々増加しており、単に診断マーカーとしてだけでなく、病態にも深く関与することが明らかとなっています。特に、ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)では、自己抗体(糖脂質抗体やノード・パラノード抗体)を中心にして、病態・治療法の開発が進められています。私たちは、幅広い自己抗体の測定が可能な体制を維持して、その結果を日常診療に生かし、かつ、多くの自己免疫性神経疾患へ自己抗体が関与する病態を明らかにすることを目指して研究を行っています。さらに、神経組織だけでなく、(自己免疫性神経疾患発症の原因となる)先行感染の病原体そのものを用いた独自のアプローチ法で、新しい自己抗体の同定を試みています。

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山口大学脳神経内科での研究

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