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山口大学大学院医学系研究科神経内科学講座

ごあいさつ

神田教授からのメッセージ

 内科学は本来,患者さんを詳細に診察して細やかな身体所見を吟味し,診断・治療方針を立てるというものであったはずですが,近年の診断機器や生化学的解析の進歩により,ややもすればデータのみに頼って生身の患者さんを診ない傾向が否めません.神経内科領域も,MRIをはじめとする画像検査の貢献は著しいものがあります.しかし,どれだけテクノロジーが発達しても,患者さんを前にしての神経学的診断技術の価値は揺るぐことはなく,神経内科は本来の“内科”らしい性格を今なお残す数少ない診療科であるということができます.この神経学的診断技術というのは,外科系の手術手技と似ていて,先輩から後輩へ,師匠から弟子へと受け継がれていく非言語的な部分が多分にあります.私は日本に神経内科学を立ち上げた諸先輩に手ずから臨床神経学を教えていただくという僥倖に恵まれました.この技術を次の世代に伝えていくのも私の使命の一つと考えています.
 私が神経内科を志した30年前は,治療学という点ではまだまだ闇に包まれた時代でした.“神経学は面白い,けれども治らない”,これが当時の一般的な認識でしたし,今なおそう思っている他科の現役の先生方は沢山おられます.しかし,世の中を変えることができるのがサイエンスです.アメリカ合衆国が1990年からの10年間を“Decade of Brain”と宣言,ニューロサイエンスに莫大な投資を行ったあたりを契機にして,神経系に関する知見は飛躍的に増加しました.この間にほとんどの主要な神経疾患の病因遺伝子は解明され,疾患と関連の深い蛋白質の解析も急ピッチで進んでいます.基礎的成果が臨床現場に反映するのに少し時間が必要であるのはどの世界も同じですが,臨床神経学の世界もようやくその恩恵を受ける時が来ています.“神経学は面白い,その治療学も力強い”時代の到来です.
 君達が現役の医師として最前線に立つこれからの20年~30年は,今なお進むニューロサイエンスの爆発的な進展を背景として,神経内科疾患の根本的な克服が大きく前進する期間とちょうど重なることになるでしょう.パスツールやコッホ,北里柴三郎や野口英世が活躍したある時期が細菌学の時代と呼ばれているように,後世の人々は21世紀の前半を“神経学の時代”と呼ぶに違いありません.臨床も研究も,一番面白いのはその“旬”のときです.時代を作る一人として,神経学の扉をたたいてみませんか.

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神田 隆  教授

神田教授

医学系研究科 神経内科学講座

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