山口大学大学院医学系研究科神経内科学講座
病棟医長からのメッセージ
病棟医長の古賀道明です。
当科は、山口県内の「最後の砦」としての役割にとどまらず、特に得意とする領域(末梢神経・筋疾患、炎症性中枢神経疾患)については全国から患者を受け入れています。そのぶん、病棟医のプレッシャーは大きく、また病棟業務は大変忙しいですが、診療を通じ医師として成長を感じ、当科に所属していることを誇りにしていただけるような診療・教育を目指しています。そのためには、現場で働く医師のモチベーションの維持が極めて重要で、以下の点を心がけて病棟運営を行っています。
①高度な医療レベルの維持
入院患者さんに関しては、病棟回診や症例検討会などを通じて、教室員全員で一例一例を丁寧に評価します(主治医だけに診断・治療の責任を負わせません)。さらに、一般病院では評価困難な神経生理検査や病理検索(神経・筋)、自己抗体(末梢神経疾患関連)測定などを自前で実施・評価できる体制を整え、各分野のエキスパートの意見をすぐに得ることができる点も当科の強みです。
②チーム診療・教育体制
状況にもよりますが、初期研修の先生には2名程度、後期研修の先生には3-4名程度の病棟患者さんを担当いただいています。患者さんを一人で受け持つことはなく、2-3名のチームとしての受け持ちとなります。個々の医師に負担が偏らないよう、病棟全体の管理は三名(古賀・大石・本田)できめ細かに行います。手前味噌ながら、当科には面倒見がよく「教えたがり」のドクターが多く、いつでもどこでも相談しやすいドクターをつかまえてください(待ってます!)。
③経験できる疾患
一般病院では多くの症例を経験できる長所がある一方で、疾患が偏りがちという短所があります。当科では幅広い疾患(髄膜炎・脳炎、脳血管障害、認知症、多発性硬化症や関連疾患、重症筋無力症、筋疾患、末梢神経疾患、神経変性疾患、てんかんなど)に関して、診断・治療プロセスを体験できます。豊富な症例の中から、それぞれの先生にできるだけ多くの疾患を経験いただけるよう、最大限の配慮をします。
④目指す医師像
「誠実に、かつ患者さんに寄り添って」など、当たり前のことを書き連ねるつもりはありません。当科が扱う疾患には確定診断に至るのが難しい疾患も多く、症候や検査結果をいくつも考慮して暫定診断して先に進まざるを得ない状況がしばしば発生します。また、特定機能病院だからといって「最新」の治療を選択しなければならないわけでなく、昔ながら(?)の消極的な治療法を選択することが患者さんにとって好ましいことも多いでしょう。私たち脳神経内科医は、このような「不確実性」や「期待される治療効果」を患者さんに分かりやすくお伝えし、その都度、最善の方法を患者さんと一緒に選択・実践していくことが求められます。
これはどの診療科でも必要なスキルではありますが、特に当科では重要です。脳神経内科では、詳細な問診や診察を基本にして論理的な考え方を重ねることで診療が進めるのが特徴ですが、このような診療スタイルだけでなく、伝える力を重要視している点も、当科が最も医師らしい科とも表現される所以となっています。私にとって目指すべき医師像とは、専門家として個々の患者さんごとにベストの判断を提供・共有し、それに基づいて診療を実践することと考えています。
研修・診療体制に関しては、皆さんの希望やモチベーション、事情(ご家庭のことなど)に応じて柔軟に変えていきたいと考えています。脳神経内科で一度習得したスキルは医師にとって一生ものです。確固たる自信とポリシーをもって、当科で一緒に働きませんか?後悔はさせません。